2006年06月21日

治療プログラム(10)

第10回(2006年6月14日 水曜日)


とうとう、ママは勇気を出して、今日のセッションが始まる前に、アシスタントの先生と話をしようと、決心した。

朝、僕を見送った後に、担任の先生に、午後のセッションが始まる前に、アシスタントの先生と、僕がいないところで話がしたいことを告げた。

午後いつもの時間に、ママが学校に行くと、メッセージはちゃんと伝わっていたようで、アシスタントの先生だけが、ママを待っていた。

「私に、話があるんですって?」
「はい。実は、私達のやっていることがだんだん私の思っていたことと違う方向に行っているような気がして...。スピーチセラピストは、あなたに、どんなアドバイスをしたのですか?」 と、きりだした。

「オラ二オスが話すのを励ましてやってください、と言われています。」

「でも、オラ二オスが、話さなければならない状況に置かれると、とても緊張して声も出なくなっていくのが分かります。そうするとますます日本語で、話したがります。」

「日本語で話していたなんて、知らなかった....。」

(ナーンダ、先生聞いているようで、聞いてなっかったんじゃないの)

「7月3日にスピーチセラピストが来るから、そのときにまた聞いてみましょう。とりあえず、今日は今までのように続けて、私は、すこし控えているから。 あなたがオラにオスのことを一番良く分かっているんだから、何かあったら言ってくださいね。」

と言って、僕を呼びに教室に戻った。

ママは、もっと言いたいことがあったが、とりあえず、肝心なことは伝わったようなので、ホッとした。

僕は、いつもの部屋に入ると、今回は椅子も置かずに、戸を閉めたままにしておいた。 アシスタントの先生も、僕に戸を開けるか、閉めるか聞いてこなかった。

ママはいつものように英語で話し始めた。

僕は最初、「日本語で話してください。」と、ママにお願いしたが、
ママは困った表情をして、日本語で話すべきか、しばらくの間考えた。日本語の方が自分もリラックスできるし、それこそ家でやっているように、僕と過ごせる。でも、英語で、と決めたからには、ママ独断では変えられない。もう一度じっくり先生方や、セラピストとのミーティングの機会に、このことも話してみればいいと思い、かたくなに、英語で話し続けた。

そのうち僕も、戸を閉めておいたせいで、リラックスしてきたのか、いつの間にか英語で話し始めた。ママが、僕の大好きな地下鉄のおもちゃをもって来てくれたので(朝学校に持ってきて、家においてくるはずが、置いてくるのを忘れただけ)大喜びで、地下鉄で遊び始めた。ママと電車で競争したりして、ママの「どこへ行こうか?」の問いかけにも、
 
「London Victoria!」

と自然に言葉が出てきた。

戸は閉めたままにしておいたが、僕は時折アシスタントの先生に地下鉄を見せに行ったりした。

先生も僕が話さなければならにような質問もせず、だた、はなしかけてくれるだけだった。

しばらくすると、ママは僕がもじもじして落ち着かないことに気が付いた。

「おトイレさん?」
「うん」
「先生に行きたいっていってみる?」
「ママ言ってー」

今回は、ママも僕に言わせようとしないで、先生に自分から告げようと廊下へ出ると、先生はいつものところに座っていなかった。講堂に通じる戸のところから、中をのぞいていたのだ。

今日は、サーカスマンが来ていて、子供達にいろんな技を見せている最中だった。僕も、午前中に見たが、楽しかった。

僕は先生を見つけると、ママそっちのけで先生の所に走っていった。
先生も戻りなさいとも言わずに、「オラ二オスもみたいのねー」とほっといてくれた。

ママは気が気でない、僕がトイレに行きたいと言うとは、思えなかったし、間に合わなかったら...。僕の後を追いかけ、先生に僕がトイレに行きたい事を告げた。

僕と先生と二人でまたトイレに向かった。

帰ってくると、僕とママは、人形で遊び始めた。ママはすかさず猫を見つけ、僕に見せた。 僕はそれを乳母車に入れて、またまた先生の所へ見せに行った。

先生は、「何それ?あー猫なのねー」とコメントするだけで、特に何も言わなかったので、またママの所に戻った。

ママが猫のふりをして、「I’m hungry…」
というと、僕はママを指差し、
「You’re Mummy. I’m Dad. You cook!. I’m just lying down here.」
と言い出した。

ママは、「えーーーー!」とびっくり。僕が流暢にしゃべったからではない。僕が言った事に対してである。

子供は親をよく観ている。妙に感心しながらも、僕が言った事がおかしくて、大笑いした。

久々のママの笑顔で、僕もうれしかった。

そして今日のセッションも終わりになり、アシスタントの先生が中に入ってきて、時間になったことを教えてくれた。

僕も終わりの時間ですね!と確認するかのように時計を指差した。

今回は、僕は最近のセッションの中で、一番言葉が出ていたと思う。

ママは、思い切って先生に話してみて本当によかったと、思った。
posted by なんでさん at 13:30| Comment(3) | TrackBack(0) | 場面緘黙症治療(Reception Year) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちわ
良かったですねオラ君のセラピー、いい方向転換です。
前回のプログラムを読んだ時はアシスタントの方の一言に????でしたが。
話を聞いてくれて学ぼうとしてくれているようなのでありがたいです。
自分の意見を言うのは難しい事ですね。私も初代のカウンセラーには最初何もいえませんでした。
最初っから何かがおかしいとは私も主人も思っていたのですが彼女に任せてしまいました。
でも親が信頼できないセラピーの方に敏感なSMの子が心を開くわけも無くだらだらと2年近く無駄にしてしまい後悔しています。
これが後々こじれる原因になったのでなんでさんにはがんばってほしいと思います。
長男のセラピーに私や主人は同席できませんでした。セラピーのfeedbackも無かったのでセラピーで何が行われたかは知る由も無いです。
長男はただ一緒に遊んでるだけだといってました。1年以上通っていたにもかかわらずセラピーの方とは一度も話したことはありません。
それが新しいセラピーの方とは最初から話ました。質問に答えるだけでなくちゃんと会話をしていてびっくりしました。
このセラピーの方はメルボルンで一番大きな小児病院で働いてらっしゃる方で土曜日にプライベートでセラピーをしています。
Dr Shipon BlumのSMサイトのフォーラムの投稿でメルボルン在住でアメリカ人のSMの子のお母さんから情報をいただきました。
このお母さんの話に拠るとこの方はかつて14人のSMの子供達の治療の経験があり現在4人セラピーをされてるとの事です(長男と他のメル在住の日本人のお子さんも加わったのでたぶん今は6人)。
アメリカ人のお母さんも彼女の娘さんが最初のセラピーで声を発して驚いたとおっしゃておられました。
やっぱり経験と気持ち(このセラピーの方は私にもはっきり気持ちが感じられます)が大切だと本当に思います。
そういえば今週からスクールホリデーなのですがひとつ大きな進歩がありました。
うちの従業員の一人はシングルマザーなので勤務中長男と同い年の娘さんを預かりました。
(自宅とお店は歩いて1分くらいなので)
長男最初は堅くなってましたがなんと私たちに話すのと変らない調子で彼女とはなしだしたのです。
しかも内容が「どこの学校にいってるの?」とか授業の質問やグループセッションの時に足くんですわらなきゃいけないのとか、自分は足くんですわるの苦手なんだとか。
長男が弟以外で同じ年頃の子どもとそんな風におしゃべりするのは緘黙がはじまった3歳以来はじめてのことです。
その上仕事が終わって迎えにきたお母さんにも話してました。
緘黙のゴールは話すことではないし長男には他の問題があるのですがこれが少しでも自信に繋がればと思ってます。
mikuさんのお子さんも進歩があったようですね。オラ君も進歩が感じられます。
お互いがんばりましょうね。

追伸
smiraのマニュアルはマギージョンソンのマニュアルのことです。
dr shipon blum の著書は持ってらっしゃいますか?
もしもってらしゃらないのでしたらスキャンしてメールで送れるかもしれません。
今友人に貸しているので戻ってきたらトライしてみます。

追伸2
mikuさま、
オーストラリアではサマーキャンプってあまり聞かないです。
多分こちらの夏休みはクリスマスの休暇とカブっているからだと思いますが、確かに高学年になるとキャンプあるみたいです。
しかも4泊5日!グレード4からなので(今グレード1)その時までにSMが治ってればいいなと願っているのですが...。
あまり参考にならなくてすいません。


Posted by KIKI at 2006年06月22日 12:26
前回のコメントエラーになってたので出来てないのかと思ったら出来てたんですね。
miku様へのメッセージがダブってしまいました。
最近yahoo japanの掲示板を通してメル在住で緘黙のお嬢様がいらっしゃる方(日本人)と知り合い昨日遊びにきていただきました。
緘黙っ子同士どうなるのかと期待半分で見てたら長男は自分のうちなのでよかったのですが**ちゃんは初めてくる場所会う人なのでかなり固まってしまいまして当然長男君もつられて固まってしまいました。
でも今後お互いに自分だけがこういう状態に陥っているのではないと自分自身を理解するきっかけになるかもしれません。
なんといっても緘黙の子ども自体とても少ないので親御さんも他の緘黙の子どもをみる事はないと多くの方がyahooの掲示板で言っておられましたし、私自信もTV以外では初めてでした。
お互いに助け合えたらなあと思います。
それではまた
Posted by kiki at 2006年06月22日 13:29
kikiさん、こんにちは。
こちらも、あれからアシスタントも息子にそんなにプレッシャーをかけることもなく、一緒に遊ぶというような形で、セッションが進んでいます。この調子で、言葉が出てくるといいのですが、私もあせらずに、見守って行きたいと思います。

新しいカウンセラーさんも、いい方にめぐり合えたようで、良かったですね。初めて会ったにもかかわらず、話が出来るというのは、子供にとって安心できる人柄なんでしょうね。KIKIさんのおっしゃる、経験と気持ち、まさにそうですよね。

同じ年頃のお子さんにも、話が出来るようになったのも、良かったですね。しかもその子のお母さんにまで。すごい進歩ですね。今後も楽しみです。

息子のほうも最近進歩がありました。
今週の月曜日は、主人の父親の誕生日だったので、電話をして、HAPPY BIRTHDAY,って言おうねー、と私がボタンを押して、携帯を息子に渡しました。 誰かが出たみたいで、HELLO!HELLO!と話し始め、私が脇について何か言わなくても自分で電話の向こうの人とぺらぺらしゃべっているので、私はてっきり、いとことしゃべっているのかと思いました。ところが、私が電話にでると、何と、義理の父としゃべっていたというではありませんか? 私も、びっくりです。 つい2週間前に会ったときは、何にも言わなかったのに。

それと、息子と同じ幼稚園に通っていた子供のお母さんにも、微笑んでバイバイと手を振るようにもなりました。そのおかあさんには、道で会うだけで、お互いに行き来するような中ではありませんが、会うたびに、息子に話しかけてくれます。最初は、私の後ろに隠れて、何にも出来なかったんですが、徐々に、自分のおもちゃや学校から借りてきた本等を見せたりするようになりました。
息子が特に何も言わなくても、気にせず、話しかけてくれて、それがやっと実ってきた感じです。 私だけと道で会ったときも、’私にも笑って手を振るようになったのよー’とうれしそうでした。

最後に、Dr. Shipon Blum の名前ははじめて聞きました。早速 WEBSITE 見てみました。いろいろ著書があるようですね。私はSMに関する本はHelping Your Child With SM しか持っていませんので、もし、お手数でなければ、スキャンして、メールしていただければ、うれしいです。でも、お仕事もなさってて、お忙しいことと思います。お時間のあるときで、結構ですので。
いろいろ教えていただいて、ありがとうございます。
Posted by なんでさん at 2006年06月22日 19:34
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