2006年05月01日

TV ドキュメンタリー(3)

次に、ロバートという9歳の男の子のことを紹介しよう。

彼は、学校では誰にも話をしない。コミュニケーションは、首を立て横に振るか、授業中の先生の質問には、ホワイトボードに書いて答えている。

休み時間には、一人で校庭の隅に立っているだけで、終わるとさっさと教室に入る。

給食のときも、自分が欲しいものを指差すだけだ。

学校以外では、自分の両親と、サミュエルという学校の友達(学校では話さないに)には普通に話している。そして、まったくのストレンジャーなのに、カメラの前でインタビューには応じられる。そこで、語ってくれたのは、

「学校では、話をすることは、ものすごく重荷で、緊張する。本当は、話したいんだけど、何を話して言いかわからないんだ。」

朝、学校へ向かう車の中では、だんだん緊張し始めて、無口になってきて、学校に着く頃には、家にいるときとはまったく別人のようになってしまう。

-- ロバートのような者とは誰も友達になりたいとは思わないだろう。
中学校に進んだら、いじめにあうかもしれない、が、言い返すことも出来ないであろう。このままでは、将来も、パートナーも見つけられず、一人ぼっちで寂しく過ごすようになるのではないか。--

両親の心配は絶えない。

今、何か手を打たなければ、この子はどうなってしまうのであろうか。

悩みに悩んだ挙句、最後の手段として、PROZAC という、抗鬱剤を使うことにした。

 
精神科医に処方してもらい、いよいよ治療の始まり。親子共々緊張気味である。

薬は、液状だ。注射器のようなもので規定の量をはかり、一気に飲み込んだ。

「まずい!!」それが、ロバートの第一声。これから9ヶ月間、毎日飲まなければならない。もうあとはない、がんばれ! そんな思いを込めて、父親が、すかさずオレンジジュースを飲ませ、味を緩和させた。

一ヶ月後、学校でのサッカーの試合で4回もゴールを決めた。
そして、試合中に、声を出した、と言うより、口を結んで「んーーーー」というような音を出したというほうが正しいかもしれない。しかし、今までは音すら出した事がなかったので、すごい進歩である。

3ヵ月後、学校のサッカー友達5人を家に招いて、サッカーをすることにした。親友のサミュエルも来る。

子供達が来るのを家で待っている間、ロバートは少し緊張気味であったが、そのときの気持ちをカメラの前で語ってくれた。

「みんなが来たときは、ひとりひとり、ようこそ!といって迎えたい。そして、みんなと一緒に楽しみたい。絶対に今日こそは話したい!!」

そして、いよいよ子供達がやってきた。彼は、決意したとおり、
「僕の家へようこそ!」と言うことが出来た!

それからは、芋づる式に次から次へと言葉が出てきて、みんなとサッカーを存分に楽しんだ。 傍から見れば、子供達が元気にサッカーをしているだけかも知れないが、ロバート本人、両親、そしてサッカー仲間達にとっても、この日は、貴重な、かけがえのない一日だったであろう。

 「本当に、楽しかった。すごくハッピーな気分だ!」

そして、6ヵ月後、10回目の誕生日。サッカー仲間を呼んで、パーティーを開いた。そこには、さらに明るく積極的に友達と楽しくの過ごすローバートの姿があった。

9ヶ月のコースが終わって薬を使わなくなっても、このままハッピーなロバートでありますように。

誰もが、そう願っている。
posted by なんでさん at 05:49| Comment(0) | TrackBack(0) | メディア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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